レジ袋、有料化する前と後

こんにちは!ゼロ・ウェイスト推進員の松本です。普段はゴミステーションの近所にある産直市、いっきゅう茶屋で働いています。

立地が立地だけに、お客さんに上勝のゴミの取り組みについて聞かれることが増えるんだろうなぁと予想しています。

手前がいっきゅう茶屋。奥に見える平屋の建物が新しいゴミステーション、ゼロ・ウェイストセンターです

いっきゅう茶屋では、2019年10月1日にレジ袋を有料化しました。県内の大手スーパーさん、隣町の産直市さん、と有料化が相次ぎ、「ここはいつから有料になるの?」と、お客さんの関心が高まったタイミングでのスタートでした。

今年の7月からは全国的にも有料化が義務付けられるので、有料化したこと自体はそれほど進んだ取り組みではありませんが、実際に現場で対応していて分かることや感じることなどをお伝えしたいと思います。

有料化まではどうしてた?

なんせ、ごみゼロで知られる町の店なので、10年以上前から、数点程度のお買い物であれば、「袋いりますか?」と声がけするなどして、必要以上にレジ袋を使わないように努めていました。

一方で、買物点数が多い時や混んでいるときは、どんどん袋に詰めていかないと間に合わないし、会計済みか会計前かが分かりにくいなどの事情で、レジ袋を使うのが当たり前のようにもなっていました。

町外からのお客さまが半数以上を占めるため、「これもいずれゴミになるけんもったいないよなー」とか「ステーション持って行くんめんどくさいよなー」といった“町民あるある”が通用しない難しさもありましたね。

2013年頃からは、レジ袋がなくなるペースを意識して仕入数を決めていくようになったのですが、(それまでは感覚でやっていた)不思議なことに、それをするだけで使用量も徐々に減っていきました。

そのデータをお客さんにも示すことで啓発にも役立ちました。レジ袋を納品してくれる業者さんには「減ったらあかんやないですかー」と毎回つっこまれましたが…

そうこうしているうちに、上勝町としての取り組みがはじまって、堂々とレジ袋削減を呼びかけられるようになりました。2018年9月に始まったノーレジ袋キャンペーンは特に効果が大きく、有料化をする前に、町民のレジ袋利用は、ほとんどなくなっていました。

有料化したらどうなった?

最初は「えっ!ここも有料なの!」と驚かれることもありましたが、有料化前からの経験が生かされたのか、思っていたよりはスムーズにいきました。

5円でも“惜しい”と思われる方が多いようで、レジにマイバッグを持ってきていなくても、

「車に袋あるけん、ええわー」とテープだけでそのまま持っていかれたり、
「車にあるけん、取ってくるわー」
「(車まで運ぶのに)かご借りていい?」
「新聞紙ちょうだいよー」
「もらえる箱ある?」などなど、

皆さん、あの手この手でレジ袋を買わずに済む方法を考えられるのです。私たちもレジ袋を売ることが目的ではないので、可能な限り協力をしています。

小さなお客様はかごを持ってお買い物をするのが大好き。お手伝いもできてうれしそう!

駐車場が近くて、それほど混雑することもなくて、全体に目が届く小さな店だからできることかもしれませんが、

わざわざ取りに戻ってくれた方には軽い運動になるし、
家族で協力して袋に入れたり運んだりがイイ感じだし、
私たちもいろいろなマイバッグを見て楽しめるし、
作業が少し減った分、ゆとりをもって接客できるし、

これは単なるレジ袋削減以上の効果があるなぁ!と感じています。

ちなみに半年が経過した今では、一日に使うレジ袋の枚数は平均で約7枚。有料化前の見込み値と比べると3分の1程度になっています。割合でいうと、20人に1人ぐらいでしょうか。

有料化はゴールではない

始めてみたらメリットだらけだったレジ袋有料化ですが、それで満足しているわけではありません。

・有料ならいいのか?
・レジ袋だけなくせばいいのか?
・プラじゃなければいいのか?
次々と疑問や課題が出てきます。

まず、有料にしただけでは完全にゼロになることはないので、「いまある在庫がなくなったら終わりにしよう」と、当初から考えていました。

そして最近、大きいサイズのレジ袋を使い切ってしまい、ほんとになくて大丈夫? もうしばらく様子みる?と店員で相談した結果、「とりあえず無しでやってみよう!」ということになりました。

あまりにも困るようなことがない限りは続けたいと思いますので、ご理解とご協力をお願いします。

いかにレジ袋を使わないか、背水の陣で考えています

そして、もしレジ袋の使用をなくせたとしても、環境的にはどれほどの効果があるのか、という問題もあります。ほとんどすべての商品がプラスチックに包まれている現実。

しかも、レジ袋は何回も使えるけど、こちらの包装はおそらく1回限りで捨てられてしまうものです。

鮮度保持や衛生面でむずかしいところもありますが、なくてもいいもの、なくせそうなものから、取り組んでいきたいと思います。

パッケージのない野菜は、ごみが出ないだけでなく、目にも鮮やか。売場も明るく楽しい雰囲気になります

あとは、木製や紙製だったらいいかといえばそうではなくて、使い捨てになっているものを(たとえばアイスの紙カップなど)極力へらしていきたいですね。きちんとリサイクルしてるからいい、というわけではないのです。

一緒に取り組ませて下さい!

このように、まだまだできていないことのほうが多いと気づかされてしまったレジ袋の有料化問題。まあ、ここが上勝でなければ、そこまで考えることもなかったのかもしれませんが…

レジ袋の有料化は、お客さんにとっても、暮らしの中の「もったいない」に気が付いて見直したり、減らす工夫をしたりする、いいきっかけになると思います。

それを実現するには、お客さんとお店が協力しあうことが必要です。はじめは時間も手間もかかるかもしれませんが、慣れてしまえばそれが普通になっていくでしょう。そしてその過程さえも、とらえ方ひとつで楽しむことができるはず。

皆さんの困っていることはなんですか?
いっきゅう茶屋への「ああしてほしい」「こうしたらどう?」という声、お待ちしております!