Effort
上勝町民の取り組み
ゼロ・ウェイストに取り組むのは大変なことだと思うかもしれません。
でも、町民はそれぞれできる範囲で、楽しみながらゼロ・ウェイストを目指しています。
そんな町民の暮らしをご紹介します。
(30代)
自分のできる範囲でゼロ・ウェイスト
町外からのお客様にゼロ・ウェイストを伝えることで、自分の興味も深まっていきました。
息子が2人いるのですが、子育ては大変なので無理はせず、
できる範囲でごみを減らす努力をしています。
私がゼロ・ウェイストを知ったのは、夫が仕事で上勝町に来るようになったからです。当時は徳島市内に住んでいて「へぇ〜、こんな町があるんだ」って思ったくらいでした。
2018年、RISE&WIN(上勝町のゼロ・ウェイストをコンセプトにしたクラフトビールのお店)でアルバイトをはじめました。町外からのお客様が多いので、上勝町のことやゼロ・ウェイストのことをちゃんと話せないといけないなと思い、上勝町やゼロ・ウェイストのことを調べるようになりました。勉強すればするほど上勝町のゼロ・ウェイストって本当にすごいんだ!と感じました。そんなことを「お客様にもっと楽しく伝えたい」、「お店でできることは何だろう?」と考えるようになりました。
2019年、家族で上勝町に移住しました。実際に家庭でごみの分別をするようになって「結構大変だな、面倒臭いな」と思いました。だからこそ、家庭でのごみを減らせるよう、工夫するようになりました。
味噌などは鳴門で量り売りしているところがあるので、そこまで買いに行っています。家で使うキッチンクリーナーや窓のクリーナーは、お店でワークショップを開催した時に教えてもらって作ったものです。
私がゼロ・ウェイストに取り組む時、大切にしているのは“できる範囲で”ということ。完璧にやろうとすると大変になってしまうので、自分が無理なく、できる範囲で取り組むようにしています。
一番ごみが出るのはやっぱり子どもの物ですね。おやつもなるべくパッケージの少ないものにしたいとは思うのですが、そこは子どもが欲しいものを買ってあげるようにしています。
日曜日には子どもと一緒にゴミステーションに行くようにしています。上の子(5歳)はゴミステーションでリサイクルマークを覚えたようで、スーパーに買い物に行った時に「あ!あのマークあるよ!」と教えてくれたりします。
できる範囲でやるって決めているので、特に苦労することはないですね。でも、もっとごみを減らせる良い方法があれば取り入れていきたいなと思っています。
例えば町内では、もっとパッケージなしの買い物が出来ればいいなと思います。肉や魚の量り売りもしてくれたら利用したいです。あと、子育て家庭では、お惣菜の量り売りのお店なんかが学校のそばにあるとすごく助かりますね〜。
(50代)
ごみが出ない暮らし気持ち良い
そんな時、ごみや環境問題に取り組む上勝町のことをラジオで耳にしました。移住する最初のきっかけです。
今は上勝町で農業のお手伝いをしながら布などを使った創作活動をしています。
ごみを出さないように工夫する暮らしって楽しいんですよ。
上勝町に来るまで“ゼロ・ウェイスト”という言葉は知りませんでした。でも、幼い頃から身近なものを使っていろいろと工夫しながら暮らしてきたことがつながっているんだなと思いました。
上勝町で暮らすようになって、前よりもさらにごみが出ないように工夫しています。魚屋さんや近くの産直市には、なるべく食器や入れ物を持って買い物に行くようにしています。
家のそばのカフェでは食材や日用品を量り売りしているので、時々利用します。ごみや無駄を減らす取り組みをしているお店や仲間が近くにいるということが、手を取り合いながら暮らしている感じがして、この町に来て良かったなと思います。
移住する前は京都を拠点にバッグを中心とした展示販売をしていました。最近は、制作の際に出る布端を利用してポケットを作っています。服のシミを隠してくれたり、穴が空いてしまった部分を塞いでくれたりと思い入れのあるものなどをもう一度復活させる役割をしてくれるんです。
私のテーマは「どんな工夫をしたら、元気でユニークに生きていけるかを創造すること。そして、それを伝える活動をすること」です。私がこの町に来て暮らしの中でやっていることは、「ゼロ・ウェイストだから」というより、工夫することが楽しいからやっていることがほとんどです。
ゴミステーションにある、くるくるショップも時々覗きに行きます。買おうかなと思っているものも、ここに行くと代用できる物があったりするんですよ。
ごみや浪費、無駄がなくなってくると、とっても嬉しいことがおこるんです。『 時間 』という生活の余白が生まれます。その余白の中で、また知恵と工夫が育まれる、ここでの生活が教えてくれたことです。
身の丈に合った生活を見つけられて、ほっとしています。
(20代)
家庭でのごみ分別を意識するように
初めての一人暮らし。
不安を感じながらやってきた上勝町でまず驚いたのは
ごみの34分別(2016年当時)でした。
上勝町に移住するまで、ゼロ・ウェイストのことは全く知りませんでした。ごみを34分別(当時)していることも引っ越してから初めて知りました。
初めての一人暮らしで不安を感じていたので、「そんな面倒なことできるだろうか?」というのが第一印象でした。
しばらくしてエコバッグを持って買い物に行くようになりました。周りのみんながそうしているし、レジ袋が家にどんどん増えていくことがきっかけでした。
上勝町に移住して4年が経ちましたが、家でのごみの分別を意識するようになりました。実家に帰ると分別が違うのでいちいち確認してしまいます。
単身用の住宅はあまりスペースがないので、家では7分別くらいです。仕事が忙しいとなかなかゴミステーションに行けないこともあるので、回収に来て欲しいなと思うことはありますね。
町内で量り売りをしているお店があるので、今後は量り売りも利用してみたいなと思っています。
(60代)
昔から使われてきた物が好き
昔から使われてきた道具や器が好きなので、自分で直して生活の中で使っています。
小さなことから工夫して生活することで、無駄遣いをしないように心がけています。
もともと、昔から使われてきた道具や器など、良いなーと思うものがあったら生活の中に取り入れたいと思っていました。都会ではなかなか手に入ることがない物もリユースやリサイクルの町、上勝町だからこそ手に入ることがあるんです。それがすごく嬉しかったです。
上勝町に来てすぐの頃は、ゴミステーションによく行っていました。自分の好みに合ったものがあったりすると1週間くらいは嬉しく過ごせます。
昔から使われてきたものって、丁寧に作られていたり、丈夫に作られているんですよね。だからちゃんと手入れすれば長く使えるし、もともとの使い方とは別の使い方をしても楽しい。どんな使い方ができるかなって考えたり、少し手を加えて工夫するのも好きです。
買い物はなるべくしません。山なので、山菜など身近に栄養のあるものがあるし、足りないものは自分の畑で作っています。
花が好きなので、家の庭ではいろんな花を育てています。堆肥も買うとかなりの量が必要なので、自分で作っています。花を植えている入れ物もゴミステーションで見つけたり、廃材で作ったものです。
これからも自分で考えたり、工夫して、物の少ないシンプルな生活を送っていきたいと思います。
(40代・50代・70代・90代)
面倒くさいと思っていても、慣れればなんてことない
上勝町がゼロ・ウェイスト宣言をするまで、ごみは家で野焼きをしていました。
ごみの分別が始まってすぐは面倒くさいと思ったけど、今では癖になりました。
昔はどの家庭でも野焼きをしているのが当たり前でした。金属や大きいものなど、家で焼けないものは日比ヶ谷にある野焼き場に持って行っていました。野焼き場では生ごみ、ビニール、大きいものでは車まで本当になんでも焼いていましたね。
町内で分別が始まってすぐの頃は、今まで分別もしていなかったし、全部のごみを分別するのは大変だったので、分別しやすいものだけを分別していました。最初は面倒くさいと思っていましたが、家の近所の人がゼロ・ウェイストを率先して進めていたので自然と「やらないと」という気持ちになっていました。
ごみを減らす工夫などは特にしていないけれど、ゴミステーションでごみを見られるのは恥ずかしいんですよね。ちゃんと洗えているかとか、見られてしまうので。ごみの出し方を注意されないようにするということで精一杯です。
たくさん作ることはできないけれど、何もしないよりは畑をしていたいと思うようで、畑のことはお義母さんに任せっきりです。もし、お義母さんが出来ないようになったら、そのあとは夫と2人で続けていきたいと思っています。
2003年に上勝町がゼロ・ウェイスト宣言をして、分別を始めてから今年で17年。今ではすっかり分別が癖になりました。ごみも洗ったほうがにおいもしないし、綺麗なのでむしろこのほうがいいなと思えます。