WHY 建築設計的意義

こんにちは😉ゼロ・ウェイスト推進員のフジーです!

これまで感染拡大防止のために取材もご遠慮頂いていましたが、それも7月から解禁となっております。早々と申し込みが舞い込んでいますが、やはり皆さんの興味関心は、新しいゼロ・ウェイストセンター。

取材陣だけでなく一般の皆様からの関心も高く、土日は町外の方が施設を散策している様子を見かけます。しかし、ただ散策するだけでは施設の想いまでは伝わらないですよね!

なので、今回はゼロ・ウェイストセンターWHYスタッフの大塚桃奈さんにお願いして、建物について建築士目線の解説をしてもらいました!どうぞ~

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5月30日(ごみゼロの日)に、「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY(以下、WHY)」があたらしくオープンしました!

今回は、無駄や浪費を減らしつつ、創造的な空間づくりがどのように手がけられたのかについて、上勝町ゼロ・ウェイストセンターを管理運営する株式会社BIG EYE COMPANY大塚がご紹介いたします。

上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHYは、資源ごみ分別場の「ゴミステーション」「くるくるショップ」「ゼロ ・ウェイストアクションホテル」「交流ホール&ラーニングセンター」「ラボラトリー」から成る環境型複合施設です。上から見ると疑問符「?」の形をしているユニークな建物は、上勝町の風景を形作ってきた様々な素材から成り立っています。

建築設計は中村拓志さん&NAP建築設計事務所、ファーニチャーデザインはWrap建築設計事務所が携わっており、町がこれまで取り組んできた「ゼロ・ウェイスト」の思想が施設の中にちりばめられています。

WHYの建築には、廃材や町内木材を生かしたデザインが施されています。

いまあるものに価値を加え、次の世代に手渡していくことは、「地産地消」「アップサイクル」の一つの役割で、ゼロ・ウェイストにつながります。

Why, 地産地消?

 

生産地と消費地が離れれば、梱包や燃料など、様々なゴミやムダが生まれます。そのため、地産地消もゼロ・ウェイストにとって大切な考え方です。

 

上勝町はもともと林業で栄えた町です。WHYでは、町内の山で育った杉や檜を丸太のまま使って、加工を極力少なくすることでゴミを出さないよう配慮しています。

 

 

写真左は、「くるくるショップ(町のリユースショップ)」の入り口を切り取ったものです。このように、大きな杉の枠組みが施設全体を支えています。

 

一般に流通していない最大8mの丸太杉を3分割し、真ん中の材を2つの材で挟み込み、ボルト締めするというシンプルな構造です。町内の業者さんが工事やメンテナンスが行えるディテールで、解体時の分別も簡単な設計になっています。

 

また、HOTEL WHYの客室には、NAP建築設計事務所のスタッフが町内の山で選抜した枝つきの檜が心柱として建物を支えています(写真右)。デザインとしてただかっこいいだけではなく、木材の加工を極力減らし、廃材を減らすことを心がけています。まるで本当にそこに檜が生えているように佇んでいます。


Why, アップサイクル?



“ごみ”と思われていたものも、見方を変えると新たな使い方やデザインの可能性を秘めています。WHYにはそんなヒントが隠れているはずです。建物や什器で使用されている窓をはじめ、建具や古道具、家具などは、広報等を通じて町民から集められ、アップサイクルされました。

 

驚くことに、WHYには町民から集まった約540枚の建具を建物に張り巡らせています。ここには、建築家である中村さんの「かつて町にあかりを灯した窓が再びWHYに集まることで、町のにぎわいを取り戻してほしい」という思いが込められています。

 

写真は広場から見た風景。窓やドア、襖など大小様々な建具が施設をぐるっと囲んでいます。

 

「受付&くるくるショップ」の様子。レセプションテーブルには、一升瓶ケースを再利用。シャンデリアには、町の「ゴミステーション」から拾った色・形・大きさが異なる瓶を使用。また床には、割れた陶器を細かく散りばめています。

「交流ホール&ラーニングセンター」は、地域の方の憩いの場でもあり、町外の方もご自由にお使いいただけるスペースです。ここで使われているタイルや、家具などもすべて廃材から成り立っています!コミュニティライブラリーとして新しく導入された本棚も、いろいろな「ごみ」が生まれ変わってできました。

上勝町の「ゼロ・ウェイスト」の理念に共感いただいた企業や機関へ貸し出す「ラボラトリー」。この空間にも異なる引き出しで形作られた棚や、コンテナでできた物置スペースがあります。地域の方が見ると、「えー!」という声が、地域の外から来た方が見ると 「おー!」という声があがります。

ゼロ・ウェイストアクションホテル「HOTEL WHY」には、入り口部分に敷き詰められたレンガや、客室内のソファベッド、ハギレをパッチワークしたカーテン、またお風呂場には細かく砕いたガラスが使用されています。WHYにはNAP建築設計事務所を通して、様々な業者のご協力のもと建築廃材が随所で生かされています。

《協力業者リスト》

  • アベルコ様(各所床タイル))
  • 安東陽子デザイン様(ホテルカーテン生地)
  • 国代耐火工業様(ホテル外構のレンガ小端敷)
  • 望造様(各所フローリング材)

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以上、WHYの建築を通して、ゼロ・ウェイストを形作る2つのキーワード、「地産地消」と「アップサイクル」についてお話ししました。

もともと廃棄予定であったものも、ほんの少しのアイディアが加わることにより、それぞれの空間にあたらしい命が吹き込まれています。

実際に訪れる中で建築に触れ、日々を取り巻くさまざまなモノとの関係性に思いを馳せていただけたなら嬉しいです。



WHYの疑問符は、社会に対して「なぜ、つくるのか」「なぜ、買うのか」「なぜ、ごみを捨てるのか」というメッセージが込められています。

「要らなくなったものを捨て、新しいものをすぐに買うこと」が当たり前になった世の中に対し、ものに対するあたらしい解釈のひとつとして、材料の「地産地消」や「アップサイクル」を生産者の方々と一緒に取り組み、社会の中であらたに循環がつくれたら素敵だなと思います。

ぜひ一度、上勝町ゼロ・ウェイストセンターにお越しください!お待ちしております:)

 

Text & Photograph by Momona Otsuka